書き始めのきっかけと振り返り
6月いっぱい、ほぼ2日に1日のペースで「中小事業所のオフィスインフラを考える」と題して、勝手に連載記事的なものを投稿してまいりました。
これを思い立ったきっかけは、大企業相手の受託SI・コンサルを経験した後に、中小事業会社で実際に情シスをやってみて、「プロと素人とでは、力の差、知識の差、求めていることの差が開きすぎている」と思うことが多かったからです。
このへんは、ブックマークのコメントにも、如実にあらわれてきます。
「大したこと書いてない」ってニュアンスのコメントについては、「まさにその通り」でして、技術的には大したことではないんです。比較的リテラシの高いはてな利用者層であれば尚更、大したことがない、と見る人が多いと思います。
しかし、現実として、中小事業所では、「大したこと」じゃないノウハウで解決できるレベルの課題が山積しています。
専門スキルを持った人を雇う余裕も無く、専門スキルを持った業者に発注する余裕もなく、兼任レベルで、非常に限られた時間と予算の中で調べながら対応するという状況下に置かれている人が、少なからず存在しています。
そうした環境に置かれた人にとっては、大手企業の導入事例も、本業エンジニアによるハイレベルな技術論も、残念ながらすぐには役立たない。
そうした人に少しでもお役に立てれば、との思いで、自分の経験から得た「ほどほどの話」を公開しようと思いました。
まだまだ自分自身、発展途上ですし、今後さらなる経験を積んだ結果、考え方が変わる可能性だってあると思います。
それもまた、「ガチガチな調査分析に裏付けられた確実鉄板な対応」よりも「走りながら考えて変えていく」ことを求められる環境にいる中小事業所の方=今回の記事の想定読者層の方々ならばご理解いただけるのではないかと思います。
さて、ここからは、このエントリが連載の目次代わりとなることも意図して、一連の記事を振り返ってみたいと思います。
記事一覧と、ちょこっと言及
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導入部として、今回の勝手連載の前提となる、ターゲットや扱うテーマのお話をしました。
残念ながら触れられなかったテーマもあります。
こんなまとめ記事書く代わりに、そっちのテーマを書け、ってものもあるかもしれません。
正直なところ、自分の中で、まだココに書くレベルにも消化できてない領域だったりもします。
これについては今後時間のあるときにでもエントリを書くことができたらと思います。
自分のためにも。
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自分がISP勤務経験もあり、さらに中小企業で足回り固めでインターネット回線の契約更改や増設などに関わった経験をベースに、「意外とこんなもんよ」というお話を書きました。
わりと極端なことを書いたので、なんかしら反応あるかなーと思っていましたが、全然w
個人的には、NTTが東西とも家庭向けに1Gbpsプランを出してくれたのは本当にありがたいと思いました。これ導入した時の体感速度の差、スピードテストのスコアの差は、ワリと感激ものでした。
フレッツの200Mbpsプランのママで契約を放置している方、一時的に工事費発生しますけど、月額利用料は殆ど変わらないので、1Gbpsプランへの変更を一度検討してみることをオススメします。
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反応薄いだろうなーと思いながら書いていた記事です。
多くの会社においては「総務」が面倒見ている領域で、エンジニアも非エンジニアも、ほとんど興味がないですから。
しかし、総務で扱われがちな電話や、その後で取り扱うコピー/プリンタといったものは今やどんどんIP化が進んでいて、その機能を十分に活かすには、総務ではなくITの知識とスキルが必要な領域になってきていると思います。
会社においては、あって当たり前になっている感すらありますが、その「当たり前」を作るお話と、「当たり前を疑う」ところのお話を書きました。
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回線手配のお話。
これもまた、エンジニアとして仕事をしているとそんなに頻繁には経験しないところなので、あえて書くことにしました。
何も知らない状況から回線手配が必要になったとしても、手探り&当たって砕けろで四方八方電話かけて頭下げつつコミュニケーションとれば、みなさん丁寧に対応してくれる領域です。
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ここはござ先輩からの言及もあって、わりと多くの人に読んでいただいた記事です。
内製だろうが外注だろうが、会社として一番必要としていることに対して、リスクを鑑みつつもっとも効果的な手段をとりなさいよ、って話ですね。
外注活用タイプで、思い切って外部業者を現場に直接コンタクトさせるタイプの情シスについて「お見合いのおばちゃん」って言いたかっただけ、ってのもなくはない。
本来は情シス主導で要件定義を固めるべきなんだけど、そんなリソースがなかったりしますし、ガチガチの要件定義書を作らず、スクラップ&ビルドしやすい開発プロセス/アーキテクチャで少しずつ作り上げていくスタイルも広がり始めていますから、「常識」だったものを一旦手放してみると色々見えてくると思うわけです。
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ここで再び、電話と並ぶ「ザ・OA機器」なネタとしてコピー・プリンタ・FAXについて触れました。
ここで想定している複合機って、結構お高いな、というところは正直心のこりです。
ヤマダ電機が日経新聞内の広告で出してくるようなクラスのものにも触れられればとも思うのですが、残念ながら全く経験がなく。
ああ、10人くらいの中国系の会社の日本オフィスにお邪魔した時に、ブラザーのインクジェットと思われる複合機1台でやりくりしているところあったなー。
印刷ニーズが少なければ、それくらいでも十分かも知れません。
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6/15に記事を投下して、7/8から被ブクマ数が大爆発した「無線LAN」の記事。
皆さんの心の琴線に触れたらしく、このブログ始まって以来のお祭り状態になり、正直なところガクブルしてました。
炎上って感じのコメントが無くてホッとしているところです。
タイトル「素人は手を出すな」、まとめ「外部に任せろ」って、お金の話をすっ飛ばして、かなり乱暴な話をしているんですが、それでもみなさん同意してくださるんだなと。
後日談的なお話ですが、日経NETWORKで、毎年恒例?のネットワーク機器利用状況アンケートがありました。
日経NETWORK「ネットワークの実態調査 2015」ネットワーク機器ベンダーの導入率ランキングを発表ルーターはヤマハ、新設のセキュリティ機器はフォーティネットスイッチと無線LAN製品はバッファローとシスコ|ニュースリリース|日経BP社
スイッチ、ルーター、無線LANなどの利用機器についての読者アンケートの結果なわけですが、私のエントリの中で紹介したELECOMの無線LANアクセスポイントは残念ながらランキング圏外でした。
一位はバッファローのようです。
頑張れ低予算事業所の味方ELECOMさん。(回し者ではないです。
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セグメント分割という、ネットワーク屋さん寄りのテーマに触れました。
数人からのスタートアップみたいなところだと、買ってきたルーターのDHCPのデフォルトにお任せで、50人くらいまでそのまま何も気にしないで間に合ってたりするんですよね。
教科書的には、小さなオフィスでも「部門別・業務別セグメント」的なものを推奨するわけですけど、一人情シス、兼任情シスで最初からそれを求めるのは酷だなと。
第一どれくらいのペースでどの領域の端末が増えるかわからない状態で設計してもアテにならないですし、想定が外れる都度再設計、再設定なんて考えたくもないですね。セグメント変更って結構辛い作業です。
そんな、感じで「1セグメントでいいじゃん」ってやってきても、80人に差し掛かる頃から、有線と無線とスマホみたいに1人複数のIPアドレスを取ってしまうようになると、1セグメントで対応しきれなくなってしまう。
そんなわけで、中小事業所でのセグメントの考え方って、こんなもんでいいじゃん、ってお話を書いてみました。
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社内情シスの宿命的業務であるヘルプデスク。なかでも入退社に伴うPCの整備は、地味ながらかなりの業務量になります。
そして、「調達」は、エンジニアスキルとはまた違ったノウハウが求められるところ。
「全社BYOD+仮想デスクトップで業務」の記事がありましたけど、あれは、調達業務のコストの圧縮効果と、次に触れたキッティングの業務コストの圧縮効果がすごいんだろうなと。
要注目ですね。
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PCを調達したら、使えるように設定を整える「キッティング」作業。
大規模な同一機種調達ならば、マスターディスク作成もできるんでしょうけどね。
そうはいかない中小事業所でのキッティングの留意点を書き連ねてみました。
はっきり言って全然効率化できていないので、もっと簡単な方法があったら教えて欲しいです。
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Microsoftのライセンス体系が難しすぎ、コロコロ変わりすぎなんですよ、もうっ。
今後はOffice365的な「サブスクリプション推し」らしいのですが、それでもプランの数がまだまだ多いと感じる部分なので、頑張って欲しいです。
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メールサーバーも外に預けるのが楽ですよね、っていう話。
GoogleAppsもOffice365/ExchangeOnlineも楽ですわー。
さいごに
私みたいな、情シス兼総務の人、非IT系の本業がありながら「ちょっと詳しいんでしょ」で振られてしまった人、開発が本業なのに「おんなじITでしょ」でやらされている人、色々いるかと思います。
誰かがやらなきゃいけない大事な業務で、誰かがやることで他の人が本業に集中することができる環境を作る重要な業務なのですが、残念ながら、あんまり価値を認めてもらえるわけでもない業務でもあります。
今後、同じようなポジションで仕事を続けられるか流動的な状況なのですが、こうした業務にもっと光を当てていくこと、また、もっと短時間で対応できるようなノウハウをためて公開していくことを、今後も続けていけたらと思っています。